玉村豊男さんは、旅、料理、食文化、
田舎暮らし、ライフスタイルなどの
エッセイイスト。
絵画にもファンが多く、
現在は長野県東御市に移住し、
「ヴィラデスト ガーデンファーム
アンド ワイナリー」を経営。
非常に多彩な才能の持ち主です。
「今日よりよい明日はない」で、
農作業の楽しみを語られています。
農作業はどこまでいってもキリがない。
でも暗くなればおしまい。
ああ、今日もよく働いた。
でも、まだ仕事は残っている。
さあ、明日もがんばろう。
これが農業の3段論法です。
いくらやっても終わらない。
だから明日につながるのです。
シャワーを浴びて、
新しいシャツに着替え、
よく冷えた白ワインを一杯。
ともかくなんとも幸せな時間です。
俺はこの瞬間のために
生きているのかと思う。
それから料理を作って食べる。
おなかが空いているから
なんでもおいしい。
風呂に入ってから、うまい飯を食い、
あとはバタンキューと寝る。
フロ、メシ、ネルの快感は
なにものにも代えることができません。
そうやって人は
小さないやしに元気をもらうことで、
今日一日の疲れを回復し、
さあ、明日がんばるぞ、という
生きる意欲が湧いてくるのです。
農作業ってそういうものか、
農業もいいなぁ、と思いました。
とても好きな語りです。
私は田舎で育ったので、
どちらかというと農作業に
いいイメージはありませんでした。
実家は農家ではありませんでしたが、
農業のイメージといえば、
重労働、休みがない、低収入。
草採りには終わりがありませんし。
でも玉村さんのこの文章を読んで、
農業という仕事への見方が変わりました。
「いくらやっても終わらない。
だから明日につながるのです。」
明日ばかりみている人には
理解できない考え方です。
これもひとつのシンプルの形。
前向きに明るく取り組む。
シンプル生活は、そういうところから
生まれてくるんですね。