「荘老思想は我が好むところ
(荘老我所好)」
奈良時代の頃の
現存する最古の日本漢詩集「懐風藻」に
載っている言葉です。
この頃にはすでに日本に
老荘の考え方は届いていました。
自然を愛する日本人の心に
老荘思想が受け入れられるのは
容易だったんじゃないでしょうか。
老荘は、虚無、厭世、それでいて楽天。
仏教のような無常観はありません。
あくまで現実の自然を大切にします。
花鳥風月を楽しむことを重要とします。
老荘思想は時の政権と
結びついたりすることもなく、
死後の儀式や宗教とも無縁です。
勤勉を欠くもの、
隠遁を奨励するものとして、
国策上危険とみなされたのも
理解できます。
老荘思想が発展していって
吉凶、陰陽道(おんみょうどう)の方向へ
展開していってしまうと、
私にもちょっと受け入れがたいのですが、
老荘本来の根幹の考え方には
素晴らしいものがあります。
「道」は不滅です。
老荘を意識していなくても
自然に同じ方向に向かっていく人、
たくさんいるんじゃないでしょうか。
美しい自然の中でゆっくり生きることは、
いつの時代にも ひとつの憧れです。