五合庵での良寛の暮らし

生涯身を立つるに懶く
騰々として天真に任す
嚢中三升の米
炉辺一束の薪
誰か問わん迷悟の跡
何ぞ知らん名利の塵
夜雨草庵の裡
双脚等間に伸ばす

一生涯立身出世に努力するのもものうく
騰々として天然自然に
身も心もゆだねるばかり
米は三升もあればよく
炉辺には一束の薪があるだけ
迷った、悟ったの跡も目立たぬように
名利を求める気配は塵ほどもなくして
夜ひとり雨の音を聞きながら
両足を伸ばしている
(「太陽」94’での訳)

もっとくだけて解釈すると、

身を立てるために努力するのもめんどうで
覚悟して すべてを天に任せたい
袋に三升の米と
炉辺に一束の薪があれば十分
迷いや悟りがあったことは人に悟られず
名利への欲なんて微塵もなかったように
夜 草庵で のびのびと両足を伸ばし
雨の降る音を聞いている
ただ それがすべて

五合庵での良寛の暮らしが伝わってきます。

「誰か問わん迷悟の跡
 何ぞ知らん名利の塵」
というのが、人間臭くていいです。

良寛にも迷った時期があったんですね。
そうして
良寛の暮らしは悟った結果なんですね。