無所有の豊かさの裏に

乞食こそ、禅仏法の至上の生活。
良寛は冬が長く厳しい五合庵で
20年も暮らしたといいます。
良寛が持っている無所有の豊かさ。

そして、その豊かさの裏にある
飢餓や野垂れ死にの恐怖。
良寛はそれをも受け入れていたようです。

「なるがままに」「しかたがない」
という生き方は、
本当にダメな生き方でしょうか。
あきらめとはまた違う覚悟が
そこにはあります。
寒さやひもじさ、
そして孤独との戦い。

托鉢といえば聞こえはいいでしょうが、
人に乞うて暮らすということ。
そんな不確かなものによって
日々を暮らすなんて
普通の人にはできません。

しかも良寛は、
この生活を自分で選んでいるのです。

長岡藩主がわざわざ五合庵を訪ね、
寺を用意するから長岡へ来てくれないか、
と良寛を招聘したといいます。
良寛はそれを断りました。

そのときの断りの句
「焚くほどは 風がもてくる 落ち葉かな」

覚悟を感じます。