鴨長明「方丈記」の一節。
ほど狭しといへども、
夜臥す床あり、昼ゐる座あり。
一身を宿すに不足なし。
(中略)
ただ静かなるを望みとし、
憂へなきを楽しみとす。
<訳>
手狭ではあるが、
夜寝る場所があり、
昼座っているところもある。
わが身一つ暮らすのに、不足はない。
(中略)
ただ静かな暮らしを望みとし、
心配のないことを楽しみとしているのだ。
夜寝るところがあって、
昼間は座っていられる場所がある。
あと、おいしいご飯が食べられれば、
それだけで生きていけます。
鴨長明は平安時代末期から鎌倉時代
にかけての歌人であり、随筆家。
禰宜に就く争いに敗れ、出家し遁世。
今でいうミニマリストであり、
その元祖的な存在。
鴨長明は、出世争いに敗れて
方丈の草庵での隠遁生活を始めました。
いわば、あきらめの境地。
でもその生活を、
エッセイに書き留めてくれました。
そのシンプルな住まいの考え方は、
多くの人々を惹きつけ続けています。