同じことの繰り返しが幸せ

森下典子 著「日日是好日」から
お茶のお稽古の先生の
新年恒例の初釜での挨拶。

「こうしてまた初釜がやってきて、
 毎年毎年、同じことの
 繰り返しなんですけど、
 でも、私、最近思うんですよ。
 こうして毎年、
 同じことができることが
 幸せなんだって。」

ずっと何かに取り組んで、
何十年も同じことをやってきた人の
実感のこもった言葉。
同じことの繰り返しが幸せ・・
ホントそう・・って思いました。

お茶はまず「形」から。
先に「形」を作っておいて、
後から「心」が入るもの。
「形」ができたら、
ひたすら五感に「心」をすます。

季節ごとに変わるお点前。
床の間の茶花や掛け軸。
季節の和菓子。
季節の変化を楽しむのがお茶。

お茶やお花は自分づくり、
とは思っていましたが、
やっぱり奥が深そう。
日本に生まれてやっぱりよかった・・

自分の五感で世のなかを観察できる幸せ

JAF会員雑誌「JAF MATE」のコラム
「幸せってなんだろう」。
毎月いろいろな著名人が書いています。

その中で、だいぶ前ですが、
江國香織さんが書いたエッセイ。

「・・・
ここに至ってようやく
しあわせを自分の外側に
求めてはいけないことが
私にもわかった。

というわけで、50代のいま、
私は自分が朝起きるだけで嬉しい。
雨ならば雨の降っていることが嬉しく、
晴れならば晴れていることが嬉しい。
自分に五感があって、
きょうも世のなかを観察できる、
というのが
たぶんいまの私のしあわせらしい。」

森下典子「日日是好日」の
お茶で感じる幸せと
同じ種類の幸せだと感じました。

この世界に生きているだけでうれしい。
この世界を観察できるだけでうれしい。
私もまさにそうあれたらと思います。

穏やかな毎日が続く贅沢

「穏やかな毎日が続く贅沢」

竹内まりやの「すてきなホリディ」
の歌詞の一節です。
車を運転しながら
ボーっと聞いているだけで、
この歌詞、いいなぁと耳に残りました。

改めて曲を最初から聞き直してみると、
その前には、
「・・・
大切なものはみんなそばにある
穏やかな毎日が続く贅沢
・・・」
と続いていました。

若い頃にはそう思えませんでしたが、
今は本当に共感できます。

大切なものはみんなそばにある
って気付ければ、
他を探す必要はありません。
満足して日々を過ごせます。
そんな穏やかな毎日が続いていくこと。
それは、なんて幸せなことか。
それこそ人生の贅沢。
ホントそうだなぁ・・って。

ちょっと前、BSで「竹内まりや」特集
「Music&Life ~40年をめぐる旅」
がありました。
ほとんど知っている曲で、
しみじみと聞かせてもらいました。

番組の中で、
旦那様である「山下達郎」が、
奥さんの「竹内まりや」の
40年間の活動について、
コメントしていました。

時代のトレンドに、
出来るだけ、媚びず、追随せず、
その先の普遍性を常に模索。
そして、その作品に通底しているのは、
人間存在に対する強い肯定感。

だから、きっとたくさんの人が、
「竹内まりや」の曲に共感できるんですね。
暖かいものが流れてる・・・

ヘルマン・ヘッセ「庭仕事の愉しみ」

「もし明日世界が滅びようとも
 私はなおリンゴの苗木を植えるだろう」
ヘルマン・ヘッセ
「庭仕事の愉しみ」から。

この本は、庭にまつわる
ヘッセの詩やエッセイ、作品を集めたもの。
ヘッセの自分の庭に対する強い思い入れが
伝わってきます。

ヘッセは20世紀前半の
ドイツを代表する文学者。

都会から離れた
眺望のよい田舎での暮らしを好み、
非常に多くの時間を
庭いじりに割いていました。

庭のない家に住み、
庭仕事ができないときは、
水彩画を自力で習得し、
植物を観察することで
庭仕事の代わりにしていたように
思います。

ヘッセは歳をとるとともに
眼の痛みがひどくなり、
長時間の読書や著述が
できなくなっていきました。
そんなときにも、庭仕事や焚き火は、
重要な気分転換の時間だったようです。
そしてそれは
瞑想や想像の世界に浸り込む
重要なひとときでもありました。

ヘッセも書いています。
「一区画の土地に責任をもつ」ことの
歓びと愉しみ。
花づくり、野菜づくり、
草むしり、焚き火などの庭仕事。
眼の痛みや疲れをいやしたり、
文筆の仕事や
日常生活の雑事からの解放感、
思索と新たな創造を生む
素晴らしい瞑想のひととき。

花は毎年、自然に花を咲かせます。
それは太古の昔から繰り返されていること。
栄枯盛衰のある人間界とは
関係のない秩序が存在します。
庭仕事をして、
自然との交わり合いの中に
身をおくことは、
大きな秩序の中で
絶対的な平安を得ること。

それが、冒頭の言葉
「もし明日世界が滅びようとも
私はなおリンゴの苗木を植えるだろう」
につながっていく。

やっぱり ルーティンって大事。
また実感。

Take Joy ! 目をこらせば、きっと宝物がみつかる

「Take Joy !
すぐ近くにある喜びを見逃さないで。
森の暮らし・・
目をこらせば、きっと宝物がみつかる」

前にやっていたNHKの番組
「ターシャ・テューダーの森から」

ターシャ・テューダーは
アメリカの代表的な絵本作家。
57歳からバーモント州ブラトルボロで、
自給自足の一人暮らしを始めました。
一人暮らしとはいえ、
長男セスが近くでターシャを助け、
コーギーコテージも建ててくれました。

ターシャは2008年亡くなりましたが、
ターシャの生活した
コーギーコテージとその庭は、
長男セスの孫、
ウィンズロー・テューダーが
世話しているそうです。

ウィンズローの嫁、エイミーが
番組の中で言ってました。

「遊びは子供にとってだけでなく、
誰にとっても重要だと教えられます。
一見無駄に思えることでも
心から楽しむことが
私を私らしく保ち
毎日を輝かせてくれる。

私はエリーとケイティに(ひ孫)
ありのままの自分を
失ってほしくはありません。
40歳になって
自分探しをしなくていいように
自分が好きなものに目をつぶらず
いつも自分らしくいて欲しい。
常に自分に正直だった
ターシャのように。」

40歳になって
自分探しをしなくていいように
自分が好きなものに目をつぶらず
・・というのがいいですね。

自分のしたいことは何か・・
自分は何が好きなのか・・
何をしたら楽しいか・・
どうせ無理だって
あきらめてはいないか・・

私も自分の好きなものから
逃げないようにしないと・・